Kitty, Daisy & Lewis「Kitty, Daisy & Lewis」

 一部ではしばらく前から話題になっている人たち。今どき40〜50年代のカントリーやヒルビリー、ジャンプ、ジャイヴなんかをストレートにやってるっていう、ほとんど時代錯誤なまでのタイム・トリップ感。しかも、それをやっているのが15歳、18歳、20歳の3人兄弟だっていうんだから驚く。


Kittydaisylewis
Kitty, Daisy & Lewis「Kitty, Daisy & Lewis」
Beat Records(2008年)

昨年出た1stアルバム。ジャケットの写真にしてもそうだけど、音もこれが2008年のレコーディングだとは到底思えない、SP盤から起こしたような音。カヴァー曲に混じってオリジナルも入ってるんだけど、見分けがつきません(笑)日本盤はボーナストラック入りなんで、日本盤を買いましょう。

 いや〜、いるんだなぁ、こういう人たちが。だって、自分たちが生まれる半世紀以上前の音楽だよ!? 普通ならこの年齢でここまで辿り着くことすらできません。やっぱりそういう環境があるんだろうな〜と思ったらやっぱりそうでした。大鷹さんのライナーノーツによると、お父さんはグリーム・ダラムというマスタリング・エンジニアで、U2やボブ・マーリーなどを担当した人(ということはアイランド系か)。おまけに古い音楽のコレクター。お母さんのイングリッド・ウェイスは、なんとあのレインコーツのメンバーだった人。で、小さな頃から家庭内でセッションとかしてたみたいです。学校の友達とかと話が合わないだろうなぁ〜(笑)

 最初は2005年にシングルを1枚、翌年にもう1枚リリース。2007に彼らがセレクトしたこういう古い音楽をジャンルを超えてコンパイルしたCDが出るのだが、これが10代の少年少女がセレクトしたとは思えないマニアックさ&センスの良さで、このあたりから彼らの存在が話題になり始める。そして2008年にこのアルバムが出たと。この手の音が好きな人たちは狂喜乱舞したでしょう。過去に未来を見たことでしょう。おまけに美男美女の姉妹だしね。


Atoz
Kitty, Daisy & Lewis「A to Z」
Sunday Best(2007年)

彼ら名義になってるけど、実際は彼らが選曲したコンピレーション・アルバム。ジャンルとか知識ではなく感覚で選んだんだろうな。そのスジの通し方、なんだろうスウィング感とでもいえばいいのかな、それが気持ちいいです。マニアックな内容だけど、そんなことを気にしないで楽しめます。日本盤は残念ながら既に廃盤の模様。

 わざわざ当時の機材を使って録音したという超アナログなこのアルバム。デビューシングルだった「Honolulu Rock-A Roll-A」は、なんとムーン・マリカンのカヴァー。僕も昔、ムーン・マリカンのレコードがなかなか入手できなくて苦労した覚えがあるけど、正直言って、ムーン・マリカンなんて今どき誰も知らないぞ。そんな感じで超マニアックなカヴァー曲たちに混じってオリジナルも少し。「Buggin' Blues」「Swinging Hawaii」(と日本盤ボーナストラックの「Say You'll Be Mine」)とこれらの曲も、見事に昔の曲と調和して全く違和感ナシ。演奏もいい感じに当時の(いい意味で)いい加減な雰囲気を再現してていい。そうそう、音楽なんてちょっとくらいいい加減で楽しい方がいいんだよ。

 こういう音楽って、やっぱりアナログで聞きたくなるよね。で、シングルも含めてほとんどの作品がアナログでも出てます。しかも、10インチ盤とか(笑)ただ、限定盤なようで、どれもけっこうなプレミアムが付いてます。えーい、こうなったらSPでも出してまえー(プレーヤーがねぇって)。

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Eddie Taylor「Live In Japan 1977 Deluxe Edition」

 普通さ、デラックス・エディションって大物の名盤とかでやるもんじゃないの? それをこういう人でやってしまうところ、さすがP-Vineです。会社的にはいろいろあるみたいだけど、こういう仕事をやってくれる限り、ファンは安心できますね。


Liveinjapan1977deluxee
Eddie Taylor with Louis Myers, Dave Myers and Odie Payne, Jr.「Live In Japan 1977 Deluxe Edition」
P-Vine Records(2009年)

オリジナルは来日の翌年、78年にリリース。1990年にLPに3曲追加してCD化。で、今回の2枚組への拡大版。ジャケも今回がいちばんカッコいいですな。


 小出斉さんの詳細なライナーノーツを元に紹介すると。77年12月に来日予定だったフェントン・ロビンスンが入国拒否のため来日できず、急遽代役として来たのがエディ・テイラーだった。翌年のO.V.ライト&オーティス・クレイを思わせる話ですな。
 僕みたいにブルースをそんなに熱心に聞いてない人間からすると、エディ・テイラーなんてマイナーなブルーズマン、というか、職人的で地味な人というイメージなのだが、実は、当時の日本では相当人気があったらしい。意外だな。僕はブルースを聴くというより、あの小気味良いギターのフレージングが好きで、これ買ったんだけど。エディはもちろんだが、バックも良い。だって、エイシズのマイヤーズ兄弟にオディ・ペインだもん。これでフレッド・ビロウだったら・・・というのは贅沢な話なんでしょう。

 実際のライヴは、全員がヴォーカルを分け合う持ち曲制だったようで、エディがメインとはいいつつも、それぞれに見どころはあったよう。このCDは12月17日と18日の京都公演(と1曲だけ21日の東京公演)を収録しているのだが、見事に曲が被らない。いったい何曲のレパートリーがあるんだ。だって、急遽代役での来日なんだよ? ただ、ときたま演奏がバラけそうになったりと危なっかしいところもあるし、メンバー同士の意地の張り合い(オレが主役的な)で、実際の音は思ったよりもまとまっていなかったらしい。それをレコードにするときにうまく調整したようで。だから、生よりもいいライヴ・アルバムなわけですね(笑)ライヴを完全収録じゃなくてオミットした曲がいくつかあるのも、そういったところと関係あるんでしょう。でも、そういった調整でこれだけの内容になるんだから、やっぱり演奏自体は悪いって程じゃなかったんだと思う。じゃなきゃ、こんなデラックス・エディションとか出さないもんね。アルバム自体も十分に楽しめると思うけど、ギターのフレーズのネタが欲しい人とか、意外といい教材になるかもよ。

 それにしても、4人全員がもうこの世にはいないのか・・・。

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訃報:忌野清志郎

ショックがデカすぎた。
でも書かないわけにはいかない。


昨日の夜、テレビを覗いたほんの一瞬だった。
速報で入ったニュースがこれ。
絶句。


ビートたけしがコメントしていた。

「昔は、RCのライヴの前に、オレたちが前座やったことがあったんだ。
久保講堂のコンサートとかすごかったんだよ。」

1980年。アルバム「RHAPSODY」となった、あの現場のことでしょう。
たけしはあの場にいたんだ!


1度だけ生のキヨシローを見たことがある。
昔働いていた店で、エレベーターに乗っていて、
ドアが空いたら目の前にキヨシローがいた!
ほんの数秒間、あの時の暖かくて柔らかい空気。
キヨシローって派手なメイクしたり、過激なこと言ったりするけど、
すげーあったかい人なんだろうなって、一瞬でわかった。


でも、でも、
あなたがいなかったら、日本の音楽界はどうなっちゃうんですか?
誰が正しい方向性を作ったらいいんですか?
イズミヤ、桑田、それから・・・?
後には誰もいないじゃないか。
こうなったら、日本最高のシンガーの1人であるたけしに歌ってもらうしかない。


昨日、「ラプソディー」を聴いていたら、本当に泣けてきた。


たった二人の勇気があれば
ダイジョブ ダイジョブ
きっとうまくやれるさ


キヨシローが今の奥さんとつき合ってた頃のことを歌った曲。


ダイジョブ ダイジョブ
僕らもきっとうまくやれるさ。


だから、バンドマン 歌ってよ!


Rhapsodynaked
RCサクセション「RHAPSODY NAKED」
Universal Sigma(2005年)

キヨシローがどれだけスゲーやつだったかってこと。裸のコイツが全てを物語っているよ。

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tabaccojuice「ゆめのうた」

仕事で関わったアーティストのことを書くとヨイショしてるんじゃないかと言われるかもしれないが、いいものはいいので書くことにした。


 昨日は、下北沢Queでtabaccojuiceのライヴを見てきました。リリースされたばかりの新作「ゆめのうた」のレコ発ライヴ。お客さんはけっこう入ってたなぁ。好き勝手に動けない程度には埋まってました。先日もフリーペーパー「Juice」の10周年記念ライヴで見たばかりなんだけど、あのときはイベントで持ち時間が少なくて、これからってところで終わっちゃったから、フルで見られるのは楽しみだった。

 結論からいうと、「Juice」の時には見られなかった、その続きをしっかり見せてくれて、僕は満足だった。なんて素直な連中なんだろうと。
 松本くんは相変わらずロクにMCもしないマイペースぶり。自分の世界に入り込むと周りが見えなくなって、暴走気味のパフォーマンスを見せる。線が細いように見えて、実は豊かなニュアンスを持った声質。先日インタビューさせてもらったとき、ギターの大久保くんは「元々はラップみたいなことをやろうと思っていた」と言っていたが、松本くんのヴォーカルは熱くなるとラップのようなフリースタイルっぽいフロウを聞かせるようになる。歌でありながらラップっぽい。これは、今多い"歌ものラップ"とは全く違って、語るように歌うトーキング・スタイルとでもいいたくなるようなもの。僕が記事で「ボブ・ディランに見えた」と書いたのは、実はこの印象が大きい。そんなわけで、彼のことを"ダンシング・ボブ・ディラン"と命名することにしよう。
 意外だったのがドラムの脇山くん。イケメンなルックスからかクールな印象を持っていたのだが、なかなかどうして、ライヴでは熱くなるタイプ。これまた自分の世界に入って叩きまくる。ハイハットをあまり使わず(ペダルが多かったな)、かなり自由に叩くスタイルは面白かった。途中で3連のオカズを多用していたのは手癖なんだろうけど、あれで自分なりのテンポキープをしてるように見えて、なるほどなぁ〜と思った。多少荒っぽかろうが、多少ズレようが、すごくライヴ感があって、僕は彼のドラムスタイルは好きだ。というわけで、脇山くんのことを"イケメンのキース・ムーン"と命名しよう。
 その横で暴走気味の二人を抑えるかのように、クールにプレイするギターの大久保くんとベースの岡田くん。この2人がうまくペースを作っていた。2人でちょっと苦笑いをするようにたまにアイコンタクトをとっていたのが印象的だった。大久保くんのギターはそれほど弾きまくるタイプではないのだが、ほどよくおいしいフレーズを散りばめて、安定したプレイを聞かせる。レスポール・スタンダードとフェンダーアンプの音色もいい具合なんだよね。最近までストラトを使っていたらしいが、僕は今の音がすごく好き。ストラト時代を知らないってのもあるけど。すごくいいギタリストだと思う。ベースの岡田くんは、もうちょっと中域を上げて固めの音にした方が、今のバンドの音には合うかな。これは個人的な趣味もあるんだけど。

 バンドは演奏が上手い方がいいというのはもちろんなんだけど、上手いからっていい演奏とは限らない。僕にとって、昨日の彼らの演奏はすごく魅力的だった。あのバランス感覚はすごく面白い。ちょっとハラハラさせられつつも、しっかりと伝わってくるものがあったから。完成されすぎちゃうと、また違うベクトルが必要になってくるから、もうしばらくは今のままでいてほしいな。

 

 さて、この新作についても触れておこう。今どきのカヴァー・アルバム・ブームにのって、全曲カヴァーによる作品なのだが、それだけじゃつまらないってことで、ヴォーカルの松本くんが好きな昔の曲、世界のスタンダード的な曲ばかりをオリジナルの日本語を乗せて、大胆なアレンジで演奏したもの。"カヴァー・アルバム・ブームにのって"なんて書くと非難を浴びそうだが、別にブームに乗ったっていいじゃない。大事なのは、その上でいかに"自分たちらしい作品を作るか"ということなんだから。そういった意味では、彼らはしっかりと自分たちの作品を作り上げた。


Photo
tabaccojuice「ゆめのうた」
Universal Music(2009年)

1. 煙が目にしみる
2. サリーガーデン
3. ムーンリバー
4. ザ・ローズ
5. テネシーワルツ
6. ブルーベリー・ヒル
7. オーラ・リー
8. ダニー・ボーイ

 収録曲の8曲はどれも1度は耳にしたことがあるような有名な曲ばかり。でも、誰の曲かも、どこで聞いたかもわからない、それほど生活の中に自然に存在している曲ばかりだ。そんな曲を選んだセンスの良さもいいが、アレンジも奇を衒ったところがなくていい。キャッチーな「サリー・ガーデン」とか、これを聞いて初めて歌詞の意味を知った悲しい歌「ダニー・ボーイ」(この曲の歴史はすごく深いので、調べてみると面白いです)は、すごく耳に残る。ぜひ聴いてほしい作品です。


tabaccojuice Official Site
http://www.tobaccojuice.net/

(2009.4.29)

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Johnny Ace「The Complete Duke Recordings」

 先日、ずっとAmazonの買い物カゴに入れっぱなしになっていたJohnny AceのCDが、急に倍くらいの値段に跳ね上がった。なんだ、廃盤にでもなったか!?と思い、まだ安く買えるところで急いで購入。50年以上前の録音に今頃振り回されてるってのもおかしな話ですが。

 そのCDがコレ。


Memorialalbum
Johnny Ace「The Complete Duke Recordings」
Hip-O Select/Geffin(2004年)

実は、5000枚の限定盤でナンバリング入りでした。短命な人だったんで、録音はごくわずか。ここに入ってるDukeに残した20曲約54分と、ほかのレーベルにちょっとだけ。それなら、これを通常盤として市場に残した方がいいと思うんですが。

 シンガーでありピアニストであるジョニー・エースは、B.B.King、Bobby Bland、Junior Parker、Roscoe Gordonなどを輩出したThe Beale Streetersのメンバーでもあった(蛇足だが、マーティン・スコセッシが監督した音楽ドキュメンタリー映画「THE BLUES Movie Project」シリーズの1本、「The Road To Memphis」の中で、ロスコー・ゴードンが現在のビール・ストリートを歩くシーンがある)。ソロデビューは1952年の「My Song」で(後にAretha Franklinがカヴァー)、1954年のクリスマスに25歳で亡くなるまで、たった2年間の活動しかできなかった。

 男臭くロマンティックなボビー・ブランドに比べて、ジョニー・エースの歌は甘くソフトでマイルド。しかし、深みがある。「Pledging My Love」みたいなバラードはほんと天下一品。その世界に浸ってしまいます。バックはビール・ストリーターズと、Johnny Otisのバンド(ギターはPete Lewis!)が演奏しているものが大部分を占める。

 録音は、Duke録音のほかは、Duke以前にFlair/Modernに残した2曲と、Sunに残した2曲(これは未発表?)の4曲のみ。全部まとめてコンプリート盤は出せないもんかねぇ。

 その死は有名な話だが、1954年のクリスマス、ヒューストンでのライヴの合間に、楽屋でロシアン・ルーレットをやっていて、自らの頭を打ち抜いてしまったというもの。リトル・ウィリー・ジョンといい、この頃は無謀な連中が多かったのね。

 その死後、翌55年にシングル曲を集めたアルバム「Memorial Album」が出されたが(最初は10インチ盤だった)、タイトルの意味はそういう訳。同年、「Pledging My Love」がビルボードのR&Bチャートで10週連続1位の大ヒット。ポップチャートでも17位まで上がった。これが生前ならどれだけよかったろうに・・・。

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Prince「LOTUSFLOW3R」

 今の殿下の動向は、常にチェックしてないとどこのレコード会社と契約してるのかもわからないほど。新録アルバムを雑誌の付録に付けてみたり、かと思うとYoutubeにアップされた画像なんかはマメに削除要請してるみたいだし、いろんな意味で音楽の在り方が変わっていく中において、殿下のやることからは目が離せません。新しいアーティストよりも時代に積極的にアプローチしているこの姿勢。見習うべきでしょう。

 
 さて、唐突に出た新譜は、自身のNPG Recordsからのリリース。なんと3枚組で限定だという。相変わらずこういうところ、まったく意味が分かりません。と思ったら実は、アメリカのディスカウント・チェーン店「Target」(ミネアポリスが本拠地らしい。なるほど)のみで販売されているものらしく、それで日本では限定扱いになってるってことなのかな?

 内容的には、殿下自身のアルバムが「LOTUSFLOW3R」と「MPLSOUND」の2枚。そして、殿下がプロデュースしたBria Valenteという女性シンガーのアルバム「Elixer」。新人の作品まで"込み"で売ってしまうこの戦略、"買うなら小比類巻かほるまで(殿下がプロデュースした作品がある)"というほどの熱狂的なマニアが多い殿下だからこそ許されるのかもしれません。そして、2年ぶりの新作とはいえ、一気にこれだけの量を出してしまうワーカホリックぶりも変わりませんなぁ。


Lutusflower
Prince「LOTUSFLOW3R」
NPG Records(2009年)

曲目以外ほとんどクレジットはなしという詳細不明ぶり。まぁ、全部殿下自身がやったということでしょうが。ただ、この趣味の悪いジャケだけはなんとかしてくんないかなぁ。宇宙と交信でもしてるんだろうか。ところで、日本盤は出るの?

 これがですね、イイんですよ。音は意外とシンプル、というかスッキリしてる。ちょっと80年代っぽさもあるのかな? でも、ガシガシしてるわけじゃなくて、耳馴染みがいい。例の如くキラーチューン的なものはありませんが(というとマニアには怒られるか?)、全体的に曲のクオリティは高いし、このくらいのものは簡単に作れちゃうよと言わんばかりです。まだまだ聴き込んでないんで、詳細は語れませんが、近年の殿下の作品の中でも大当たりでしょう、これは。

 あと、Bria Valenteさんの方。これがまたアタリなんです。ソウルというよりはポップス。アメリカ風なようでいてUK風なようでもある。けっこう軽いです。でも、"オシャレなものを作りましょう"的なものじゃなくって、こういうのが馴染む人なのかなという印象。いいアルバムです。ジャケを見る限り、ルックスは正直イマイチですが(というか、どこの人?)これ、単体で出した方がいいんじゃないのかなぁ。


 あと、専用のウェブサイトが用意されてるんですが、なんかヘンなんだよね。なんか仕掛けがされていて、キーワードを解いてうまくアクセスできると、ニューアルバムとかビデオがダウンロードできる? くそー、英語がよくわからん。とにかく、なんかあるみたいです。分かった人、おせーて!
http://www.lotusflow3r.com/

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Chinaha「Sweet Nothings」

 なんなんだ、君はいったい。
 CD屋の試聴機で聴いて思わず衝動買い。
 ここ数日のヘビロテ化してるChihana嬢。若干20歳。


Sweetnothings
Chihana「Sweet Nothings」
Blue Bayou Records(2009年)

収録曲
1. Vigilante Man
2. Cotton Fields
3. Down and Out
4. 月光価千金
5. You Gotta Move
6. Dark End of the Street
7. Amazing Grace



 やってるのはブルースとソウルとバラッドのクラシックばかり。渋すぎ。少なくとも20歳が聴く音楽じゃないです。のっけから聴こえてくるのは、ドブロのスライド。もちろん、本人が弾いてます。この味のある演奏・・・。歌は多少軽いが、興味本位でやってるんじゃないのがわかる。ちゃんと分かってる歌い方だ。もう1回言う。20歳の女の子だよ!?


 オフィシャル・サイトに載ってるプロフィールによると、1988年生まれ。もともと音楽的には恵まれた環境に育ったそうで、高校時代からバンドでギタリストとして活躍。当時からそのプレイには定評があったようだ。バンド解散後は、元村八分(!)の加藤義明とデュオで活動。すごい年齢差だ(笑) その後、ドブロを手にしたことにより、ソロ活動を開始。同時に、女性シンガー・ソング・ライター、Deeと共に"Broken Country Girls""を結成。

 オフィシャル・サイトには写真も大量にアップされてて、これがなかなかかわいいんすよ。金髪のときもあったみたいだけど、黒の方が似合ってる(と個人的な感情が思わず出る)。ファイヤーバード持ってる姿もカッコええなぁ。サマになってる。


 しかし、なんて心地いいんだろう。演奏は本格的なのに、どこか飄々としている。弾き語りもいいし、最後の「Amazing Grace」をドブロのスライド1本でインストで弾ききる、というか、しっかり聴かせる。南部テイスト濃厚ながら、この軽さがクセになるんだな。最近は海外でもKitty, Daisy & Lewisとか、若いのにルーツ・ミュージックを熟知した素晴らしい才能が出てきている。これが、ヘタにベテランきくよりも良かったりするんだもんな。わからんもんです。

 それにしても、まだ20歳でこの枯れ具合。逆に心配になっちゃうよな。竜巻のジュンこと長見順みたいな存在になるんだろうか? 楽しみだ。早めにライヴを見なくっちゃ。

Official Web Site
http://www.geocities.jp/rockn_roll_suicide69/


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志賀真理子「mariko」

 だいぶ前に志賀真理子さんのことを書いたことがあるんですが、なんと、とんでもないものがリリースされてました。前回のエントリーとかぶる内容もありますが、より詳しく再度ご紹介。


Mariko_3志賀真理子「mariko」
Warner Music Japan(2009)

1996年の再CD化より13年ぶりの復活。アナログはもちろん、前回のCDもプレミアの鬼と化してたんで、この再CD化は嬉しい限りではあるんですが・・・

 志賀真理子さんは1985年にデビューしたアイドルで、5枚のシングルと1枚のアルバムを残して1988年に大学進学と共に引退。その翌年に留学先のカリフォルニアで交通事故によりわずか19歳で亡くなっています。その人柄や性格も良かったらしく、そのせいか、いまだに個人のファンサイトが立ち上がっていたり、熱狂的なファンが多く存在する。当然、レコードやCDはプレミアの鬼と化しているわけです。
 
 正直言って、アイドルとしてはルックスもぼちぼちだったし、芽は出なかった。もともと、子役として活動していたらしく、その頃に童謡を歌った音源もあるらしい。その後、ビクターより、OVAアニメ「魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢の中の輪舞」(いわゆる魔法の変身ものアニメ)の主題歌「夢の中の輪舞」で歌手デビュー。翌年、同じく”魔法シリーズ"のアニメ「魔法のアイドル パステルユーミ」(こんどはテレビ版です)の主人公ユーミの声優と主題歌を担当。この曲「フリージアの少年」からワーナーへ移籍。これが正式なデビュー曲という位置づけとなり、ビクター時代のシングルはプレ・デビュー盤とされている。アイドルの場合、こういうケースは多いですね。

 そんな当時16〜17歳の真理子さん。実は、歌の上手さはアイドルの中でも随一で、歌詞の世界に入り込んだ繊細な感情表現は10代のアイドルとは思えない程。テクニックや安定感だけだったらもっと上手い人はいっぱいいるんだけど、伝わってくるものの度合いが違う。約1年半という短い歌手活動の中でも、初期は完全な聖子フォロワーながら、後期はより自身の歌のスタイルというものを気にしだしたようで、中森明菜風の歌い方も聴かせるようになる。ちゃんと考えて歌っていたんでしょうね。この人が歌い続けていたら、どんなにすごい歌手になっていただろうと思う。反面、現在の坂本真綾のような、上手いながらも歌で演技してしまうようなスタイルになっていたことも考えられる。

 ともかく、彼女が残した歌は、素晴らしいものばかり。だから、アイドルのグッズ・コレクション的な意味ではなく、音楽としてポップスファンにはぜひ聴いていただきたい。そんなわけで、今回の再CD化は嬉しい限り・・・なのですが。

 と歯切れが悪くなってしまうのは、商品が店頭に並んで誰でも買える形でのCD化ではないから。ソニーが主催している"オーダーメイドファクトリー"という企画があって、要するに、ユーザーのCDリクエストに始まり、最終的に一定枚数以上の予約がとれた場合のみ生産販売するというシステム。今回はそれによるCD化なのだ。だから、発売前の時点で予約していないと買えない。"名盤は店頭でいつでも買えるべき"という観点からすると素直に喜べないのだが、まぁ、仕方ないんでしょう。それでも、熱狂的なファンがこうやって掘り出してくれるんですから。

ソニー・オーダーメイド・ファクトリー(志賀真理子のページ)
http://www.sonymusicshop.jp/detail.asp?goods=WQCQ000000150


 さて、今回のCD化で素晴らしいのは、前回のCD化の際には収録されていなかった「Rainy Day Hello」をはじめ、ワーナーに残った童謡以外のオフィシャル音源を全て収録したコンプリート盤となっていること。ヘンな商売っ気がない企画だからこそ実現した内容といえそう(と言わざろうえないのが悲しい)。


Mariko2_2「mariko」
Warner Music Japan(1986.6.25)


唯一のオリジナル・アルバム。当時のアイドルのアルバムなんて、正直、楽曲なんていいかげんなもんです。もちろん、当時売れっ子のプロ中のプロが書いているわけだから、ソツなくそれなりのクオリティの曲が揃っていますが、突出したものもない。逆に、歌の魅力が楽曲を良く聴こえさせてしまうところに驚く。そんな中でも服部克久がアレンジした「キャンバス」はなかなかの出来。「ひこうき雲」も服部氏のアレンジなので、いっしょに依頼されたのかもしれません。


Photo「フリージアの少年/金のリボンでROCKして」
Warner Music Japan(1986.2.25)


両面ともアイドルポップス屈指の名曲。作曲/アレンジは両曲とも山川恵津子。この人は作曲家としては作品数は決して多くないながら、1曲1曲の作りが丁寧でいい曲が多い。この2曲もまさにその典型で、メロディの良さからテンポ感、音色に至るまで、完璧に選び抜かれ洗練されている。麻生圭子の作詞も、10代の少女の柔らかな恋愛観を上手く表現していて、穏やかな気持ちにさせてくれるいい歌詞だ。
「フリージアの少年」は、ミディアムテンポの緩やかなグルーヴを持ったAOR風の楽曲。アレンジは同時代の山下達郎のようで、ギターやドラムの音色の選び方や演奏まで、まるで達郎バンドがやっているかのようにも聴こえる。サビメロを抑えめに、Bメロでハイノートを爆発させるというメロディは、アイドル向けの楽曲としては相当に高度なもの。それをこなした上に、歌詞に合わせて表情を付けていくヴォーカルには驚くしかない。
「金のリボンでROCKして」は、一転してアップテンポの楽曲。リズム隊の走りそうになりながら後ろへ引き戻すグルーヴ感が素晴らしい。感情表現の上手さは「フリージアの少年」以上で、アップテンポのリズムに流されず、逆に押し引きを上手く使い、表現のスペースを作り出したヴォーカルのセンスは驚愕に値する。要するに、普通ならバラードで自分のタイム感の中で強弱を付けたりして感情を込めていくでしょ。それをリズムがどんどん進んでいってしまう曲の中でやってるわけ。当時16歳の歌とは思えない。


Photo_2「青い涙/避暑地の約束」
Warner Music Japan(1986.5.25)


両曲とも作詞:売野雅勇、作曲:井上大輔、アレンジ:船山基紀。残念ながら比較的平凡なアイドルポップスになってしまった。メンツからみても分かる通り、当時アイドルポップスを大量に作っていた職人さんたちなので、失礼な言い方だが、普通のお仕事感覚で済ませてしまったのだろう。決して悪い曲ではないのだが、何か特別なものも感じられないということ。本来アイドルにアーティスティックなものは求めないので、これはこれでいい。ほかのシングルが良すぎるのが誤算だったというべきかもしれない。ヴォーカルも多少ノリが悪く、歌い方も雑。楽曲へ入り込めなくてこういう歌になったんだとしたら、逆に、それは耳の良さを証明しているといえる。それを超えた時、プロのシンガーになれるんですけどね。ちなみに、アルバム収録曲の「夏より遠くまで好き」は「青い涙」の歌詞違い曲。


Photo_3「ひこうき雲/雨に濡れてポニーテール」
Warner Music Japan(1986.12.10)


「ひこうき雲」は、森岡みまや井上ヨシマサが在籍していたコスミック・インベンションのアルバム収録曲のカヴァー。ユーミンのとは同名異曲です。作曲はコスミック・インベンションのプロデュースをしていた元ブルー・コメッツの鍵盤奏者、小田啓義。この曲が初めてもらった曲で、彼女自身お気に入りだったそう。このシングルはアルバムとは別ヴァージョン。アルバムより後のリリースなので、シングル用に再録音したんでしょうか。彼女自身の思い入れを考えるとありそうですが、トラックが同じだということと、歌い方がほとんど同じだということから、単なるテイク違いと考えるのが妥当な気もします。ただ、彼女独特の少し鼻にかかった声の深みが、後期の明菜風の低音唱法に近いものが感じられないこともないので、実際のとこころ・・・関係者に確認するしかありません。個人的には、谷山浩子の柔らかに流れる空気の一瞬を切り取ったような感動的な歌詞を、間をゆったりととって語尾まで丁寧に歌い上げたアルバム・ヴァージョンの方が好きです。シングル・ヴァージョンは語尾の表現がちょっとぶっきらぼうな感じ。何にせよ、これはオリジナルの出来を遥かに超えています。名曲・名演。
「雨に濡れてポニーテール」はアルバムからのカット。作曲はスターダスト・レビューの三谷泰弘。83年頃までの明菜風の曲。それを意識してか、明菜風のわざと重くタメた節回しとリリース部分を強く張った発声で歌うのだが、たまにふっと聖子風の歌い回しが混じってしまうところが微笑ましい。


Rainydayhello「Rainy Day Hello/Time For Love」
Warner Music Japan(1987.8.25)


前回のCD化では収録が見送られたラストシングルが目出たく収録されました。
「Rainy Day Hello」は杉真理の作詞・作曲で、オリジナルは須藤薫。彼女自身が杉真理に歌いたいと直訴して実現したそう。そのせいか、杉自身がコーラス・アレンジも担当。アレンジは清水信之だが、不思議と86年頃の明菜風のアレンジ。同じワーナーということもあって、やっぱりそういう意識があったんでしょうか。歌い方も初期の聖子風(これが自然な歌い方だったんでしょう)から、意識的に明菜風に変えているのが分かる。初期とは別人のように大人っぽく、かわいらしくならないように深みのある声を出しています。デビュー1年半でこれだけ声をコントロールするテクニックを身につけているのは本当に凄い。これだけ歌えれば、引退してもアイドルではなくシンガーとして(特にバックコーラス系)呼び戻されたことでしょう。
「Time For Love」は、意図がよくわからない楽曲。たぶん、次の方向性を模索していたんだと思われます。歌い方もかなり迷いがある印象。


「青空パステル・キャンパス」

「フリージアの少年」や「金のリボンでROCKして」と同様に、「パステルユーミ」の挿入歌として使われた楽曲。サントラに収録されていたようです。よって歌い方は聖子風。作曲は馬飼野康二。少しやぼったい馬飼野節のメロディをこれだけさわやかに聴かせちゃうんだから、やっぱりすごい歌唱力です。サビメロが難しい曲なので、ちょっと苦戦の痕が見える。


おまけ
Photo_4「夢の中の輪舞/オルゴールを止めないで」
Victor(1985.6.21)


これが初録音でしょうか。「夢の中の輪舞」はロックな楽曲。例えば「Zガンダム」や「メガゾーン23」のあの曲などに通じるような感じです。「オルゴールを止めないで」は70年代半ば〜80年代あたまの女性シンガーソングライターが書きそうな曲。どちらも歌い手を意識した節はまったくなく、歌は安定しているもののそれほど魅力的には響かない。マニアが持っていれば十分です。

 さて、そんなわけで、このCDは2月にリリースされたばかりですが、リリースと同時に廃盤。早速プレミアがついています。それを見込んで転売用に複数枚購入してヤフオクなどで高値で売っている人がいますが、それをあくどいと言うか、密かにリリースされていたこのCDをまだ買うチャンスと捉えるかはその人次第としておきましょう。実は、僕もヤフオクで入手したクチです。とりあえず、今ならまだ新品で入手できるチャンスがあることに間違いはありません。
(2009.4.11)


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Jeanie & Marlin Greene

 あぁ、ついにこれがCDになってしまったか。Jeanie Greene唯一のソロ・アルバム。長年の密かな愛聴盤。ジーニー・グリーンといえば、Don Nixとつながりの深いシンガー。Don Nixは元Mar-Keysのサックス奏者にして、メンフィスをベースにStaxのソウル関係からリオン・ラッセル関係、スワンピーなロックまで、コンポーザー、プロデューサーと活動する多才な人。ソロアルバムも数枚ある。そこに必ずといっていいほどクレジットされているのがJeanieとMarlinのGreene夫妻。あ、マーリンがダンナでジーニーが奥さんね。特にジーニーの方は、ドン・ニックス、ファリー・ルイスと共に「The Alabama State Troupers」にフィーチャーされていたから、よく知れているかもしれない(ダンナのマーリンは、そのバックのThe Mt. Zion Choirの一員としてひっそり参加)。


ThealabamastatetroupersThe Alabama State Troupers「Road Show」
Elekrta(1972年)

直訳すれば、アラバマ州劇団。ドン・ニックス、ジーニー・グリーン、ファリー・ルイス(あの有名なブルーズマンだ)の3人をメインにThe Mt. Zion Band & Choirが支える一座のライヴ・アルバム。2枚組だが、ジャケには"Specially Priced Two Records Set"とあるので、2枚組の大作がドーン!みたいな気分でリリースしたわけじゃないんだろう。中身は、ファリーの弾き語りブルーズあり、ドンやジーニーのソロ曲ありといろいろな内容ですが、まさに"一座"的なレビュー形式のライヴを聴かせる。残念ながら未CD化。

Liveforamoment
The Alabama State Troupers「Live For A moment」
Aim(2005年)

で、上記のアルバムと色違いのジャケなもんだから、あ、ジャケとタイトル変えてCD化されたのねと思ったら、中身は全くの別音源。曲目すらあんまり被りません。おーい、うれしいけど順序が逆だろう? ま、雰囲気は同じってことで。


 
 さて、ジーニー・グリーンは白人(しかも美人)ながら真っ黒なゴスペル・シンギングを聴かせる人で、シンガーとしての力量はかなりのもの。現在唯一となるソロ・アルバム「Mary Called Jeanie Greene」はスワンピーな作風ながら、スワンプロックというよりはゴスペルロックとでもいいたくなるほど、全体に漂う南部ゴスペル臭。いわば、黒人のゴスペルをいちばん泥臭い白人のスタイルでやってみた(もちろん、音楽スタイルとしての意味)ともいえそう。まぁ、全部がゴスペル曲ってわけでもないんですけどね。アルバムタイトルからも、なんとなくそういうことが読み取れる(メアリー、つまりマリア様ですな)。バックを務めるのはマスル・ショールズの面々。Roger HawkinsにBarry Beckett、Davis Hood、Wayne ParkinsにChris Ethridgeまで!コーラスにはClaudia Lennearもいます。モチロン、ダンナも。まぁ、間違いないメンツってことですよ! 日本のロックファンはゴスペルって敬遠するから、もったいないよね。ただし、内容はちゃんと理解しようと務めましょう(姿勢くらいはね)。


Marycalledjeaniegreen_2
Jeanie Greene「Mary Called Jeanie Greene」
Elekrta(1971年)

オリジナルのアナログでは、ジャケ中央のジーニーの写真は抜きになっていて、映っているジーニーの姿は内袋に印刷されたもの。それを抜き取ると、聖書の登場人物風のイラストが現れる。たぶん、イエス様とマグダラのマリアかな?


 同時にCD化されたのが、ダンナのマーリン・グリーンのソロ・アルバム。ダンナは歌にギターにベースに鍵盤に、さらにエンジニアリングまでこなすマルチプレイヤーですが、どうも地味な存在というか、裏方向きの人みたいですね。この人の名前が有名なのは、何と言ってもあのPercy Sledgeの名曲「When A Man Loves A Woman」のプロデューサー(Quin Ivyとの共同プロデュース名義)としてでしょう。


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Marlin Greene「Tiptoe Past The Dragon」
Elekrta(1972年)

内容は普通のちょっとスワンピーでカントリーなロック。悪くない出来ですが、隠れた名盤ともベタ褒めするようなものでもないです。ただ、参加メンバーはやっぱりすごい! 上記マスル・ショールズの面々に、さらにEddie HintonやChuck Leavellまで入ってます。奥様もおもちゃのピアノでソロ弾いてます。


両盤ともボーナストラックなしのストレート・リイシュー。Colector's ChoiceというレーベルからのCD化ですが、ジャケの表にレーベル名がでっかく載ってるのが、かの悪名高きCollectablesを思い起こさせるのでちょっといやだ。おまけにオリジナルのElektraのロゴまで消してるって、ちょっと嫌な予感も。

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Melinda Doolittle「Coming Back To You」

アメリカン・アイドルのシーズン6で3位になった実力者メリンダ・ドゥーリトルのデビュー・アルバムがやっと完成。

実は、この番組は見たことがないんだけど(Youtubeで部分的に見る程度)、彼女のようなルックス的には恵まれていない(失礼)シンガーでも、実力や性格などでしっかりデビューにまでこぎ着けられるというのはいいね。日本のオーディション番組みたいに、歌唱力よりもルックスや話題性(家庭環境だなんだとか)で売っちゃおうってわけじゃないからね。メリンダのように、オーディエンスから圧倒的に支持される出演者も多い。Youtubeにはメリンダの出演シーンもいっぱいうpされてるから、チェックしてみよう。


さて、そんなわけで、僕はアメリカン・アイドルの出演者だったからとか、そういう理由でこれを買ったんじゃありません。ジャケ買いです(笑)でもね、こんだけネットが発達して、事前に情報が出回っているのにジャケ買いしたくなるって、最近では本当に珍しいんだよ。特に新譜ではね。決め手は、メリンダの姿と成りがこのモノクロの写真のジャケットの、まるっきり60年代な雰囲気にぴったりだったってこと。きっと、"そういう歌を歌える"と確信したんだな。

メリンダはもともとバックコーラスの仕事をしてた人で、錚々たるメンツが並ぶ。ざっと見積もっただけでも、Michael McDonald、Kirk Franklin、Aaron Neville、BeBe and CeCe Winans、Alabama、Jonny Lang、Vanessa Bell Armstrong、Anointed、などなど。ロックからR&B、ブルースにカントリー、なんでもゴザレ。でもやっぱり目立つのはゴスペル。カークはもちろん、ビービー&シーシーなんて大物、ソウルからゴスペルまでを行き来するヴァネッサ・ベル・アームストロング、ここ15年くらいの人気クループ、アノインテッド。これだけの人たちと仕事をしてきたってだけでも十分実力は認められているわけだけど、やっぱり自分の歌を歌いたかったんだろうね。


Comingbacktoyou
Melinda Doolittle「Coming Back To You」(2009)
Hi-Fi Recorgings


1曲目から、いきなり古くさいソウルテイストがぷんぷんしてて、今の時代にプロがこれをやるってパロディ以外の何ものでもない。普通ならね。そう感じさせないのは、やっぱりメリンダの歌。上手いけどやたらと技巧に走りがちな最近のシンガーと違って、心があるのね。だから上手いのに必要以上に技巧は使わない。だから、シンプルなサウンドが似合うんだね。

今回歌われている13曲は全部カヴァー。ソウルのカヴァーかと思いきや、実は相当におかしな選曲で。サウンドは60年代以前のソウル〜ポピュラー路線に統一されてるんだけど、オリジナルの出自をみるとびっくりというのが多い。実は90年代以降の曲が多かったり、第一、ソウルやR&Bの曲が少ない。新しいと思った曲でも、実はその前があるのかもしれないけどね。やっぱ、アメリカン・アイドル出身で、これが1発目ってことで、まだまだいろんな可能性を探ってるのかも。ジェニファー・ハドソンみたいなことだって起きうるわけだし。ただ、この選曲はどう考えてもセンスがいいとは思えない。

Fundamental1.Fundamental Things (Bonnie Raitt)
ボニー・レイットの1998年のアルバム「Fundamental」のオープニング・トラック。リズムパターンからしてボニーのお得意パターン。あんまりいじってないけど、歌はバッチリソウルフルでいい。


Shrinerarestsoul22.It's Your Love (Shirley Edwards)
60年代にShrine Recordsからリリースされた、シャーリー・エドワーズの盤がオリジナル。ソウルマニア泣かせの名曲です。オリジナル・シングルはレア盤として有名。こんな曲が突然入ってるのもヘンなので、ほかに有名なカヴァーとかがあるのかも。UKのACEというレーベルから出てる「SHRINE: The Rarest Soul Label Vol.2」というCDで聴けます。が、なぜかAmazonには無し。珍しいもんではないので、輸入盤屋で普通に売ってると思います。

Dejavuost3.Coming Back to You (Macy Gray)
なぜかメイシー・グレイの曲。しかも、2006年の「Deja Vu」という映画の主題歌?で、サントラに収録されているようなのだが、CDの存在が確認できず(Youtubeでは聴けます)。しかも、アルバムのタイトル曲になってます。どういう絡みがあるの?

Fallingintoyou4.Declaration of Love (Celine Dion)
なんと、セリーヌ・ディオンのカヴァー。アルバム「Falling Into You」の中でも目立たない曲。なんか、あんまりコメントしたくないな(笑)

Mistybestofjohnnymathis5.The Best of Everything
有名なソングライターSammy Cahnの曲で、1959年の同名映画の主題歌。アカデミー賞の音楽部門でオスカーを獲得した名曲。いわゆるスタンダード曲ですね。シナトラとか、ジョニー・マティスなんかが歌ってます。

Sodamnhappy6.Wonderful (Aretha Franklin)
アメリカン・アイドルでもアリサの「Since You've Been Gone」を歌ってたから、アリサのカヴァーをするのは分かるんだが、なんとアリサの引退作と言われている2003年のアルバム「So Damn Happy」からの選曲。

Robertjohnsoncompleterec7.Dust My Broom (Robert Johnson)
なんと、ロバート・ジョンソンのブルースですよ。しかも、超有名曲。アレンジは相当変えられてて、あんまりブルースな感じはしないけど。どういう基準で選んでるんだろ? カサンドラ・ウィルソンがサン・ハウスを歌ってるからとか、関係ないか。

Adayatthemovies8.I'll Never Stop Loving You (Doris Day)
これも、サミー・カーンの曲。1955年の「Love Me or Leave Me」という映画の曲で、オリジナル・シンガーはドリス・デイ。もうストリングス入っちゃって、大スタンダードな世界。エッタ・ジェイムスあたりでも意識したんだろうか?

Whattheworldneedsnowis9.I Will Be (Wynonna Judd)
ポップ・カントリーの大物、ワイノナ・ジャッドの1993年アルバム「What the World Needs Now Is Love」に収録。そんなに大きくアレンジを変えた印象はなし。


Breathefaithhill10.If I'm Not In Love (Dawn Thomas)
これは、このブログでもずいぶん前に紹介しましたね(コチラ)。そう、伊藤由奈のREIRA starring YUNA ITOとしてのデビュー曲(つまり、「NANA」です)、「Endless Story」のこと。もともとはこの曲を書いたDawn Thomas(aka Constant Change)が1993年に「Indecent Proposal」という映画のサントラで歌ってた曲。ここではいちばん有名なカントリーのFaith Hillのヴァージョンでご紹介。

Robertjohnsoncompleterec11.Walkin' Blues (Robert Johnson)
ロバート・ジョンソンをもう1曲。これまた有名な曲ですな。これはロックバンドなんかもよくやる8ビートが似合う曲。スウィングさせてもいい。ストレートにソウルな感じでカヴァーしてます。

Sorrynoimage
12.We Will Find a Way
出所不明。曲を書いたSusan Sheridanはイギリスの女優/ナレーターさんで同名の人がいるんですが、関係あるのかな? ストレートにソウルを感じさせる好トラック。

Aheartthatsfree13.Wonder Why (Jane Powell)
3度サミー・カーンの曲。なぜそこまでこだわる? 1951年の映画「Rich, Young and Pretty」からの曲。劇中でジェーン・パウエルとヴィク・ダモーンが主演した歌ったのがオリジナル。これもアカデミーにノミネートされたが、受賞はできず。

EpiphanybestofchakakhanBonus:「Through the Fire」(Chaka Khan)
んで、どうやらWalmart(アメリカの有名なスーパーマーケット・チェーン)での販売分のみ、ボーナストラックでシャカの名バラード「Through the Fire」のカヴァーが入ってるらしいんだよね。うおー、聴きてー。


プロデューサーのMichael ManginiはJoss Stoneを手がけていた人。なるほどね。ドラムスは全曲あのCindy Blackmanが叩いている。


とにかく聞きごたえはある。で、これが日本盤の予定がないんだな。やっぱ日本ではルックスがないとダメなの?それでも売るんだ!という根性を、日本のレコード会社も見せてほしいです。

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